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I am not an EU citizen

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このセメスターでは、アジア台頭のコースに加えて、「市民権(ヨーロッパに焦点を当てて)」に関する授業を受けています。これがもう、すっごく面白い。

EUの設立後、「EU市民」というステイタスが生まれました。
「市民権」という言葉はそれぞれの国がどういった経緯で国民形成をしたかによって
定義が変わりますが、言えることとして、「国」を単位に考えるものでした。
日本であれば、多くの場面で「国籍」と似た意味で使用されているかと思います。

その一方で、このEU市民というのはまさにその名の通り
「あなたはEUの市民です」という事を認めるもの。
EU加盟国の国籍を保持する人は自動的にEU市民になります。
オランダ人もイタリア人もみ~んなEU市民。
だから私はEU市民ではありません。

じゃあEU市民はどんな恩恵を受けるのか?
EU加盟国内であれば、好きなように移動ができる、働く事ができる。
また、移転先の国の地方選挙に参加する事も可能です。
学費も「EU市民プライス」で安く留学する事が可能です。
これは権利の一部に過ぎませんが、いろいろ特権はあります。
移動の自由などは我々にも与えられている権利ですが、やはり「雇用」が
絡んでくると話は大きく異なります。

「我等地球人、グローバル市民」と提案する人はいても、実際にそのような市民権が存在するかというと存在しない。だから、「グループ化」というプロセスの上では、特定のグループを含めて
特定のグループを除外するという作業は避けることができないと思うのです。
違いをつけないと、グループ化ができない。
だから私が日本国籍を保持する以上、EU市民になれないのも仕方がないと頭ではわかっています。

だ・け・ど、そもそもEU市民になるための要素であるEU加盟国の国籍保持、
この国籍保持・国籍取得の方式を探ると、いろいろな疑問が浮かび上がるのです。

未だにEU諸国の多くが、国籍取得において「血統主義」の方式を導入しているんですね。
これは日本も同じ・・イタリアもその例の1つです。

1800年後半、北・南アメリカを始め、イタリア国土から移住したイタリア人の
子孫は「血の繋がり」のおかげで、イタリアに足を踏み入れた事のない人でもイタリア国籍を
取得する事ができます。そして彼らは自動的に「EU市民」になれるわけです。
その一方で、義務もしっかり果たして生活するイタリア長期滞在者や
新たにイタリアにやってきた人への国籍取得のルールはものすごく厳しいです。
イタリアは特に厳しい・・

10年ほど前から、国外に住むイタリア人にも選挙権が与えられ
彼らの投票はイタリア政治に大きな影響を及ぼすと言われています。
(確か右派を支持する人が多いとか何とか・・)

イタリアに来たこともないイタリア人がイタリアの政治に関わる権利を持ち、
EU市民権まで与えられる。ヨーロッパに来たことのない若者が
イタリアのパスポートを持っているというだけでEU市民価格で
私の学費の3分の1ほどで勉強ができる。

その一方で、イタリア領土で生活する多くの人が投票権を持たず、
市民権を持たない事で社会から見放され、差別を受けて。

誰のためのイタリア政府?誰のためのEU?

EUの事を勉強していると、
まだまだヨーロッパ至上主義が抜けていない事を示唆する政策、
機関の仕組みそのもの、そして表現がまだまだ多く存在する事実感します。
問題は、機関の仕組みがあまりにも複雑で、
政策やスローガンも曖昧な点でしょうか。

「Unity in Diversity 多様性の中の統合」
EUのスローガンの1つです。

うそこけ!!とたまに言いたくなることもあります。
誰のための統合?どの程度の多様性?そんなところがすごく曖昧。
いやいや、「その通りやなぁ!さすがEU!」と思うことの方が多いのですけどね。

これから次の進路を決めていく上で、私はこの
「あなたはEU市民ではないから・・」
という現実に何度も直面する事になると思います。

これまたヨーロッパに残りたいタイ人のクラスメイトと「EU市民になりたいな・・」
「EUのヨーロッパ至上主義にはうんざりやな・・この・・くOったれ・・」とぼやきながら、
そして励ましあいながら挑戦していくしかないな。
私も彼も、自らの意思でここに残る事を選択しようとしているのだから。
EU兄さんに「ここに残れ」と言われているわけじゃないのだから~。


さぁ、今週もしんどくなりそうですが、元気に行きませう!エイ・エイ・オ~018.gif
(じゃっかん弱気、ハハハハ)

PS:地震大丈夫でしょうか・・・?



by Yoku1210 | 2014-11-24 02:05 | 日常 | Comments(0)